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Saoirseというサイトの遊び場です。その他小ネタを書き綴る場所です。 日記もこちらへ移行しました。
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 この作品は、本家「Saoirse」で連載している「心映すは天と魔の狭間の鏡」という火魅子伝二次小説のパラレルエンドから派生した物語です。
 もし、あの時、違う選択肢を選んでいたら、な話の一つ。

 指慣らしの適当文章ですので、かなり適当ですが、それでもよければどうぞ。

 それでは第一章「現代END」より、そのアフター。
 切れ端な物語をお楽しみください。








 俺は逃げ出した。

 体面をいくら取り繕おうと、その事実は変わらない。

 そこは怖い場所だったから。恐ろしい場所だったから。
 そこでは、俺は俺じゃなかったから。
 誰も俺を、本当の俺を見てくれなかったから。

 いや、違う。

 怖かった。何よりも、騙し続けて生きる事が。
 騙していた事がばれてしまう事が、怖かったんだ。

 失望の目が俺を睨む。
 怒りの目が俺を睨む。
 憎しみの目が俺を睨む。

 それが、怖かった。

 だから――逃げたんだ。




 朝から気分が悪い。頭痛がするわ吐き気がするわ。なんか背中がやけに痛てぇし、どうもまだ慣れてない気がする。いや、この言い方は可笑しいな。慣れるっつーか「戻れてない」……んだろうな。
 窓から差し込む光を見て目を細める。慣れてきた俺の目の入ってくる町並みは、今の俺には違和感しか与えない。バカらしいことに、どうにも自分が異端な気がしてならない。
 そんなことを考えながらも、俺は服を着替え朝食の準備をする。なぜならまあ……。

「九峪ーっ! 起きてるー!?」

 そろそろこいつが来る頃だからだ。



「にしてもさぁ、九峪の早起きも長続きするねぇ。九峪大丈夫?」

「またそれか。むしろ早起きのどこが大丈夫じゃないのか聞きたいね俺は」

 俺が作った朝食を食べつつ、一昨日だかにも言ったことを言ってくる。よくもまあ、同じような質問ばっかりしてくるもんだ。

「いや、だって九峪だし。遅寝遅起き、目覚め悪しだったじゃん」

 この言葉には少し反論しようがない。「俺的には」もう半年以上も前の事だが、その頃はそうだった気がする。

「今は遅寝早起き、目覚めすっきりなんだよ」

「それ、どっか間違ってるから」

 呆れたような顔をして、食べ終わった食器を片付けていく日魅子。一応幼馴染で、一番付き合いの長い奴ではあるんだが、最近はどうしてもぎこちない。その原因は、はっきりしてるんだけどな。

「んじゃ、早く片付けて学校行こうよ。早起きしても朝の時間って早いんだから」

「おう」


 俺はつい二週間前まで、違う世界にいた。
 なんかこう言うと、自分でも病院に行けって言いたくなるような事なんだけどよ。冗談でも頭の病気でもなくて事実だ。俺自身夢だと思った事は何度かある。でも、その度に俺は部屋に隠している、色んなものを染み込ませたぼろぼろの服を見る。それは確かに、俺があの世界にいたという証拠。
 そして、俺が――逃げた証拠。

 その世界であった事は、たった数ヶ月の事なのに、俺が生きてきた十七年の人生経験をぶっ壊すには十分すぎる時間だった。だから、俺はあの世界で起きた事はできるだけ思い出さないようにしてる。
 今の俺は、あの世界に背を向けて逃げたんだ。そんな俺が、今更あそこの何を思える資格があるってんだ。

 濃密で濃厚で、激しすぎる数ヶ月の異世界での体験。それは元の平和な世界に戻って二週間経った今でも俺を悩ませている。

 例えば――

「……殺したくなるな」

「九峪?」

 きっと俺は壊れたんだろう。あの世界で、その時まで生きていた「九峪 雅比古」という人間は完膚なきまでに壊されていて、それに気付けなかったのは、こっちの世界では壊れている人間が普通の人間の世界だったからなんだろう。
 だから今の俺は、平和そうに歩いている人達や、この目の前にある教室の中で楽しそうに話している奴らを、なんでか無性に殺したくなるんだ。
 燻っている闇。それと同時に思い出せるのは、何故か白い兎の耳。なんでそんなものが頭に浮かぶのか分からない。でも、それがきっと何とかしてくれていた、そんな気がする。

「悪い日魅子、俺早退するわ」

「はぁっ!? 早退って、まだHRすら始まってないって、っていうか教室に自体入ってないのに早退ってなによ!?」

「気分が、悪ぃんだよ」

「ちょ、ちょっと九峪!」

 後ろから聞こえる日魅子の声に耳が僅かに動くのが分かる。ったく、反応すんなよ。今はさっさと離れないと――。



「ゲッ、ォオェェエッ!!」

 喉がひりつく、胃が痛い。朝喰ったものなんざ、すでに流れてる。
 公園の水場で気分の悪さに任せて胃のものを全部吐いて吐いて、胃液まで吐き出したってのに、まだ気持ち悪い。何か体の中で気持ち悪いものが蠢いてやがる気がする。

「……くそっ」

 誰に対してでもない、ただ口から漏れた。

 壊れて壊れて、もう自分が元の自分じゃないって事を知ったのは、この世界に戻ってきてから、ほんの四日経った頃だった。
 まず、何せ俺にとっては半年以上の時間が経っていたのに、こっちではたった一週間しか経ってなかったんだから。一応十七歳の高校生だったんだ。今じゃ戸籍上十七歳で、肉体的には十八歳だけどな。十台の俺の体は向こうでの経験で、笑えるくらいに成長してくれていた。
 さすがに身長が大きく変わることはなかったが、元にいた頃に比べて、比べるのも馬鹿らしいくらいに体ができあがっていた。
 でも、一番変化してたのは、精神の方だった。

 なんて言っても――

「おい、お前九峪だろ」

 俺の思考を遮るように声がかかる。名前を読んでいるんだから、間違いなく俺に用があるんだろう。大体声色から用事については予想できるけどな。

「ああ、なんか用か」

「てめぇにやられた仲間の敵討ちだよ」

「お前にやられた傷でなぁ! あいつ死にかけたんだぞ!」

 顔を上げるのも億劫だったんだけども、そうも言ってらんねぇし、顔を上げて相手を確認する。ひーふーみーよー……、意外と多いな八人か。

「死にかけた?」

「そうだよ! 今も入院中だ!」

「死ななくてよかったな」

 まったく、本当に、死ななくてよかったなぁ、そいつ。よく覚えてないけど、死にかけたってんなら、俺が戻ってきてからやった相手だろうし。……前の俺は相手に致命傷与えることなんか出来なかったしな。

「てっめえぇぇええ!」

 めんどくさい。心底めんどくさい。つーか、どうでも、いい。



 あほみたいに声を張り上げる奴らの声にあわせて、俺の体が揺れる。現在、サンドバック肉詰め君になってます。あ、肉詰めだとサンドバックじゃねぇか。

「おらぁっ!」

 まったく、どうにもしつこいね。こっちはもう倒れて寝てるんだから、放って置いて欲しいんだけどな。てめぇらもよく飽きずに蹴ってくれるよ。

 まあ、勝てないとか、そう言う話の前に、俺はこいつらとやり合う気が一欠けらもありゃしない。戻ってきてから数日して分かったことだ。今の俺は、無意識でも敵意を持って向かってくる奴に、致命傷を与えて最低でも虫の息、大抵はさっさと殺すことを考えて体が動いちまうってことだ。
 だからまあ、それが分かってからは、どうにも体が動かなくなった。

「……そろそろ、勘弁してくれねぇ?」

 頭に強い衝撃。一瞬視界が真っ白になった。
 ああ、どうも、まだまだやり足りないらしい。じゃあ、仕方ねぇよな。好きにしてくれ。
 なんか閉じかけた視界に見覚えのある奴の姿が見えた気がしたけど、まあ、予想通りあいつだったとしても大丈夫だろう。多分、つーか、間違いなく今の俺よりも更にあいつ強ぇし。
 そんなわけで俺の意識は視界が閉じると同時に落ちる。



「……二度ネタはやらねぇぞ」

 どうも見覚えのない天井を見ながら、意識がはっきりしないまま口が動いていた。

「九峪! 目、覚めた?」

「おう、ばっちり。って言うかこのはっきり会話できる状態で、俺は寝てるとしたら怖いだろ」

「九峪ならありえそうだけど、……よかった」

 何気に失礼極まりないことを言われたような気がするが、日魅子の毒なんざ日常的なものなんで無視する。たまに盛大に突っ込むが、今はそんな気分じゃねぇし。
 首を左右に数回。見たことねぇ部屋だ。とりあえず俺の住んでる部屋じゃないのは確かだ、俺の部屋の四倍から五倍は広いし、訳のわかんねぇ物がいっぱいあるし。なんか社長室にあるようなごっつい机まであるし。

「なぁ、ここ何処よ?」

「あー、えっと、……バイトぉ先?」

 なんか自信のなさそうな声がひたすら怪しいんだが、どうも此処は日魅子のバイト先らしい。

「……お前どんなバイトしてんだよ」

「あー……色々、っていうか気付いてない九峪も凄いけど」

 なんのこっちゃ。
 それはともかく、色々追求しがいがあるのは置いといて、かなりやられたようで、顔を下に向けてみればぼろぼろになった制服が目に入った。なんか色々思い出しちまいそうだ。

「で、九峪、同じこと聞くのは嫌いなんだけどさ」

 嘘付け。お前は自分の都合がよけりゃ何度でも聞くだろうが。
 そんな事を考えていたのがばれたのか、日魅子はそこで一度言葉を切って、じとりとこちらを見てくる。おー、やっべ、かなりきてるわアレ。

「……九峪が一度もまともに答えないから、また聞く。
 なんで、あんな事してたの」

 相変わらず直球でいて、どう答えても何かしら情報与えないといけない言葉だな。さて、どうしたもんか。

「うん、まあ、あれだ日魅子君。いくらスーパーでハイパーな俺でも、八人相手だとなすすべもないわけだよ」

「はい嘘」

「また早ぇなおい」

「だって明らかに嘘でしょ。っていうか何度目よ。……九峪一体どうしたちゃったのよ」

 そんな、悲しそうな顔されても、俺には何もできねぇんだけどな。
 罪悪感が胸の中で暴れまわる。原因は分かってる。はっきりと、日魅子とぎこちない状態になったのも、こういう事があった時、はっきり答えてやれないのも、全部……俺が「話してない」せいだって、分かってる。

 日魅子には、ずっと探してるもんがある。本当に小さい頃から、俺と出会った頃より更に前から、一人で探し続けているもんがある。
 それは、自分の出生。
 その探し続けている答えを、俺は知っている。けど、何度も口から漏れかけても、俺はその答えを日魅子に伝えてやることができなかった。

 そう、俺はここでも――逃げたんだ。

 なんとも言えない空気が漂う。お互い相手の目を見てない。それでも下に向けている視界の中には、目の前に座っている相手の姿が見えている。だから、動くこともできない。ただ、何かきっかけを待つように――

 ガァン!!

 突然の激音。先に反応したのは日魅子だった。

「九峪こっち!」

 耳を貫くような轟音が響く。その度に薄暗かった部屋が白く染まる。

 冗談じゃない、これは間違いなく、銃声じゃねぇか!

 転がり込むように日魅子の後に続いて、下手の奥にある立派な机の影に隠れる。当然、そこへ連続して銃撃が叩き込まれていく。先ほどまで俺たちがいたソファーが白いものを撒き散らしながら無残な姿になっていく。それに続いて俺たちが隠れた机も馬鹿みたいな衝撃と共にその破片を撒き散らす。

「な、なんだ、なんなんだ!?」

 いきなりの銃声、その音からして人数は複数。いきなりなんなんだ、訳がわかりゃしねぇ。此処は日本の筈だ。糞みたいに平和で、人の生き死になんざ遠い世界の、平和な国な筈だろうが。
 なにより、なんで日魅子の奴が机の引き出しから銃を取り出してるのか、ぜんっぜんわかんねぇ!

「日魅子っ! どうなってんだ!」

「ごめん、後で説明するから、今は此処で伏せてて!」

 そう言うそばから、マガジンを腰に差し込んだ日魅子は銃をスライドさせ、初弾を銃身にこめて机の影から発砲した。

 ガァン!

 先ほどから聞こえていた銃声と大して変わらない。それでも至近距離で響いたその音は、その衝撃は、その光は、俺の体を萎縮させるのには十分すぎる。
 続けて放ち続けられる日魅子の手の中にある銃。俺はわけがわからないまま、本気でわけわかんねぇまま、微かに震えながら……自分が笑っている事に気付いた。

 部屋の扉の方から聞こえてきていた銃声の間隔が長くなる。それと同時に日魅子は机の影から飛び出し、その先にあるテーブルを蹴り飛ばしながら銃を撃ち放つ。

「ちょ、まて日魅子ぉ!」

 銃撃の中に進んで踊りだしていく日魅子。その瞬間、俺の世界はまた瓦解した。
 平和なはずだった。多少荒事に慣れているといっても、日魅子は平和な国の平和な学生のはずだった。俺の大切な幼馴染だった。俺にとっての、こちら側の象徴だった――なのに!

 頭が沸騰するよう沸き立つ。場の空気を頭が計算し始める。危機に反応するよう叩き込まれた直感が、銃声とその着弾点から、どこに敵がいるか知らせる。

 必要なものは、力。
 素手で戦う馬鹿はいない。例えるなら仁清相手に丸腰で向かっていくようなもんだ。んなもん今の俺だと自殺行為だ。
 ならなんだ、何が必要だ。
 剣か? そんなもん今の俺がつかってどうなる。丸腰と変わりゃしねぇ。
 焔か? 今の俺にんな化け物的な力なんてねぇ。
 なら何が必要だ。

 そう、必要な力の場所は、さっき見ていた筈じゃないか。

 俺は首を振りその場所を見る。日魅子があけた机の引き出し、即座に中身を見る。
 ……あった。黒く染まった鉄の塊。今この場で使われている暴力。これがあれば、戦える。殺せる――!

 ふっと、体から血が抜けたような気がした。
 さっきまで滾っていた、沸き立っていた血が、一気に冷めた。

 オレハ ココデモ ヒトヲコロスノカ ?

 歯が噛み合わない。カチカチと音を鳴らしている。いや、顎だけじゃない、体全体が震えている。怖い。そう、これは恐怖で震えている。唾を飲む。

 俺の頭の中を満たしている怖いの中に、不思議と「死ぬ」恐怖はなかった。ただ、ひたすらに、人を殺すのが怖い。この日常を、この平和を、殺すのが怖い。

 冷たい鉄の塊。指先が触れて、猫みたいに手が引っ込んだ。
 どうしたらいいどうしたらいいどうしたらいい!

 日魅子が危ないんだ、助けるのは当然だろう!
         ――日魅子は此処に伏せてろと言った。

 殺されるくらいなら殺すのなんか、当たり前だっただろう!
         ――ここは日本なんだ、人を殺したら終わりだ。

 お前は日魅子の命と自分の命、それより自分の平和が重いのか!
         ――いやだ。やっと帰ってこれたんだ。この平和な……。


     その平和な日常に馴染めず殺気立ってる馬鹿はお前だろう。


 ガチリと、何かのスイッチが入った。
 元々、考えるまでもないんだ。平和な日常も、将来の夢も、過去の誓いも、全部どうでもいい。きっと、俺はこんな世界を望んでいたんだから。

 だから俺は、もう一度「戦う力()」を執る!

 引き出しから黒い鉄の塊を手に取る。この手の知識は聞きかじり程度だ。それでも日魅子がやっていた動作ならきっちり思い出せる。銃の構造を見て、何がどうか見て、日魅子がやった行動を追いかける。
 入れられていないマガジンを手に取り、それを銃に差し込む。それと同時に、一度それを落とす。これでどうすれば弾を変えられるのかは分かった。次に銃身を引き初弾を入れる。そして安全装置を外し――

『迷うことなかれ』

 なぜか、何処かのお節介焼きの声が聞こえた。あの戦場で背中を預けた、心から信頼していた、あいつの声が聞こえた。

 オゥケィ、分かってるよ清瑞。生き死にの場では、まず生き残ること。そこで起こしてしまった事は、その後に考えればいい。
 引き出しの中から日魅子と同じようにマガジンを引っつかみ、銃声と着弾点から飛び出すべき場所を見極め、俺は引き金に指を当て、机の影から飛び出した。



 俺の、現代での戦いの始まり。
 それはこの最初の引き金を引いた時だった。
















 あとがき

 そんなわけで日魅子エンド後の九峪でした。
 この話は基本的に、心天魔鏡辞典の「姫島日魅子」の項で書いた冗談半分な設定を元に作り出されたものです。
 かなり適当で、指慣らしになんでもいいから書いてみるか~と2時間くらいで適当に書いたものなので、かなり適当です。

 作品中の九峪がかなり壊れていたり、なんでやねんな性格になっていたりしますが、色々仕様です。
 終わり方もまた、どうよーって感じなのですが、んまあ、反響あったら続き書くかも~程度なものなので、ぶっちゃけ適当です。

 なにやら文章書く感覚を取り戻すために、毎日軽いのを一本書こうと思いまして、昨日に引き続き便利なネタ帳からネタを出そうかと思ったのですが(ネタ帳扱いかい)なんとなく火魅子伝の書きたいなぁとか思いまして、いや、火魅子伝の原型とどめてないとかいう突っ込みは当然なんですが、まあ、書きたくなったので書いてみました。

 ぶっちゃけると今日のネタの面白くなかったから、他のネタ書いただけなんですけどね!

 そんなわけで切れっ端な文章でした。
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